12月上旬発売
フィリピの信徒への手紙
第87号 2014年12月
定価2000円+税
まえがき
J・A・マーシャル (榊原芙美子・訳)Joseph A. Marchal
「キリスト賛歌」のレトリック ──パウロ解釈序論──
-
フィリピの信徒への手紙は綿密でダイナミックなレトリックそのものであるが、パウロ解釈においては見過ごしにされることがあまりにも多い。よく知られた
「キリスト賛歌」を中心にこの手紙の議論全体を注意深く批判的に分析することで、この非常に重要な文書がもつ倫理的・政治的側面に同調する解釈がもたらさ
れる。
A・K・グリーブ (吉谷かおる・訳)A. Katherine Grieb
フィリピの信徒への手紙と神の政治
-
パウロはフィリピの共同体に「同じ思い」をもつことを強く勧めるが、教義や倫理の問題についてフィリピの人たちに画一性を求めたわけではない。むしろそれ
はキリスト・イエスの思いを自分たちのうちにもつようにという命令であり、他者の利益を考えるようとするものである。今日、この「同じ思い」を採り入れれ
ば、教会は共同体を築き上げる新しい実践を見出すことになるだろう。
L・G・ブルームクィスト (吉谷かおる・訳)L. Gregory Bloomquist
喜びによる反転 ──フィリピの信徒への手紙における苦しみと喜び──
-
フィリピの信徒への手紙はレトリックを用いて苦しみと喜びを再構成している。苦しみと喜びは織り合わされることにより、主題となるだけではなく、手紙全体の背景をなすつづれ織りとなるのである。
J・フィッツジェラルド (山野貴彦・訳)John Fitzgerald
キリスト教徒の友情 ──ヨハネ、パウロ、フィリピの信徒への手紙──
-
ヨハネとパウロはともに愛を友情の基礎としている。ところが、彼らの思い描いていることは重要な点で異なっている。ここではヨハネとパウロの友情理解について簡潔に議論し、フィリピの信徒への手紙においてパウロが友情に関する言葉をどのように用いているかについて考える。
フィリピの信徒への説教
-
古代のテクストと現代の教会の間に距離があると感じるとき、説教者はキリスト教が主流になる以前の時代に生きた脆弱なキリスト教徒たちに向けて語られた言
葉が何世紀もの時間を飛び越えて、キリスト教が中心ではなくなった時代に生きるキリスト教徒に語られていることに気づくはずである。
テクストと説教の間
ルカによる福音書14章25―27節(C・ブリッソン/石田雅嗣・訳)
ヨハネによる福音書6章25―35節(S・ファウル/石田雅嗣・訳)
コロサイの信徒への手紙1章15―28節(R・N・クリステンセン/吉岡誠悦・訳)
書評紹介(榊原芙美子・訳)
-
ロルフ・レントルフ著『正典としてのヘブライ語聖書──旧約聖書の神学──』
フランク・C・セン著『民の業──典礼の社会史──』
カレン=マリー・ユストほか編『子どもと未完成の霊性を育む──世界の宗教伝統からの視点──』
0 件のコメント:
コメントを投稿