ヨハネ福音書と教会
第85号 2014年6月(14年6月2日発売予定)
定価2000円+税
まえがき
R・アラン・カルペッパー
ヨハネ福音書における「教会」を求めて
ヨハネによる福音書は当初から「教会の福音書」として受け入れられてきた。最初の注解書はどの新約の巻についてもヨハネ福音書に基づいて書かれた。その詩的なプロローグ、美しさと高遠なキリスト論においてヨハネ福音書に並ぶものはない。その言葉は他のどの書よりも初期教会の教会会議を導き、正統のキリスト論に明確な表現をもたらしてきた。
フランシス・J・マローニー
聖書の「終わり」──ヨハネによる福音書──
ヨハネによる福音書にはイスラエルの聖典、旧約聖書からの明白な引用が見られる。その引用は十字架の上でのイエスの最期の言葉をもって幕が閉じるように組み立てられている。イエスの言葉は常に聖書の成就として表現されるが、聖書そのものとして捉えられることもある。ヨハネ福音書はイエスをイスラエルの聖典の継続と完成として表現している。。
メアリー・L・コロエ
ヨハネ福音書における神殿のイメージ
第四福音書の物語は神の住まいとしてのイスラエルの神殿の意味の転換の過程を示している。神殿は建造物からイエスという人物へ、そして信仰共同体へとその意味を変化させていく。
アディール・ラインハーツ
ヨハネ福音書の中のユダヤ教
ヨハネによる福音書は神の言葉を介した神と人類の宇宙的な調和という気高いビジョンを描いている崇高な神学書である。しかし、それと同時に、信者ではない者を中傷し、「ユダヤ人」という歴史上の一集団を不信心な者と見なして、その後、何世紀にもわたるキリスト教の反ユダヤ主義にかなりの影響を与えてきた。ここではヨハネ福音書におけるユダヤ人、ユダヤ教についての正負両方の描写を検証し、二一世紀の読者がこの問題の多い話題とどのように対処したらよいのかを提案する。
テクストと説教の間
ヨハネによる福音書7章37─39節 (バーバラ・E・リード)
ヨハネによる福音書7章53節─8章11節 (フランシス・T・ジェンチ)
ヨハネによる福音書11章28─37節 (J・S・ランドルフ・ハリス)
書評紹介
クレイグ・R・ケスター著『命の言葉─ヨハネ福音書の神学』
マーヴィン・スウィーニー著『注解 列王記上・下』
トーマス・G・ロング著『回想から希望へと至る説教』