2015年10月11日日曜日

90号「年をとるということ」まえがき





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年をとるということ

第90号 2015年9月
定価2000円+税




まえがき





「生まれる時」があり、「白髪が輝く冠」である時があり、「死ぬ時」がある(コヘ三1、箴一六31)。

賢者たちに由来するこのような知恵の文学は現代の物書きが「老齢」の問題で引用する言葉の宝庫である。

 


マーガレット・ガレットは「アメリカにおける老人差別は悪化の一方」で、「アルツハイマー病の時代」が年配者たちに恐怖に与えていると論じている。

「老境に入った」人が直面する恐ろしい二分法は生物学的というよりも文化的なもので、そこで年配者は賢人か認知障害者のどちらかに分けられてしまう。

ガレットはこの二分法を老齢と知恵の間にある伝統的な結びつきを維持することで打破しようとしている。

わたしたちは「互いが心置きなく年を重ね、―死に至るまでも―今よりずっとやさしく、文化的に接し合うことができる」し、そうしなければならない。
 



ダグラス・ナイトはヘブライ語聖書とその様々な社会・経済的背景を周辺地域の文化や考古学的な証拠などから検討し、イスラエルにおいて「老齢」とは四〇歳以上のことを意味していたと結論づける。

年配者は困難や不測の事態、病気に満ちた労働集約型の生活に耐えて生きてきたが、「家族や共同体のために長年尽くしてきたのであり、それに見合った形で尊敬」されるべきとされていた。

聖書テクストが明確にしているように、年配者への世話と敬意は「道徳的、社会的義務であり、それに違反すれば共同体から罰せられる」。
 



米国の六五歳以上の人口比率は二〇三〇年には現在の一三パーセントから二〇パーセントになる。この先例のない人口統計上の変化にどう対応すべきだろうか。

ハリー・ムーディとアンドリュー・エイケンボームは連帯、持続可能性、管理責任という三つの倫理的原則を深い宗教的な根をもつものと見ている。

こうした原則は長い間、環境保護と関連するものと受け止められてきたが、ムーディとエイケンボームは寛容、正義、感謝という徳に基づく「環境神学」とそれを結びつけ、世代を超えた責任の絶対的原理にまで拡大させている。
 



「教会に専従している人」は老齢という旅路にある人への「ケアの提供を期待されている」が、人生の最後の三分の一の複雑さ(長寿化、社会的・人口統計学的な変動など)が教会に新しい課題を突きつけている。

 ヘンリー・シモンズはこうした課題に牧会的な想像力をもって対応する四つの戦略として、会話を共有すること、儀式の分かち合い、神の国が来るものとして世話をすること、政治的ホスピタリティを提案している。

教会がこの課題に挑戦すべく立ち上がれば、年配者へのケアは「恵みの出来事」となる。
 



トーマス・リンチは生者と死者、死すべき者である人間を一度きり変化する現実の際にもたらすことによって、その死すべき運命を担うのを助けてくれるのが「よい葬儀」であるとしている。

「空の墓」は「キリスト教の決定的な真実」であるので、「その神学は終末論によって形づくられ」、「神についての考えは、終わりに起こることの熟考によって知らされる」。

故人の遺体が安置され、残された者を思いやり、暫定的なものであれ死の意味について答える物語があり、聖なる場所で死者を葬る「よい葬儀」において「命の奇跡と死の神秘は明白に繫がっている」。



ジョン・キャロル
サミュエル・アダムズ





2015年10月2日金曜日

《書籍紹介》「ゲーム漬け」は危ない


電車に乗っていると、隣の人がスマホのゲームをしている。一心不乱。30分以上、休むことなく。

こういう経験は珍しいことではない。皆さん、よくご存じのように。

なにやら丸いものをなぞって、消していくゲームをしている人が多い。無心になれるのだそうだ。仕事のストレス解消とか。

確かに、ストレス解消にはなるらしい。しかし、その状態が長く続くと(一説では15分以上) 、脳の機能に確実に影響が出るそうだ。科学的なデータだという。

大人でもそうだというのだから、成長過程にある子どもに及ぼす影響は推して知るべし。

その影響で人相が明らかに変わってしまった子供の写真とか、見てしまった。この本には出ていないが、かなり衝撃的。別に顔が崩れてしまうわけではない。全く別人の顔になってしまうのだ。子どものうちなら元に戻らないわけではないというが、発育や、将来における知的活動に影響は出るだろう。


 
田澤 雄作 (教文館 1404円/税込)










昔から「ゲームをやり過ぎるとバカになる」 と言われているが、実例やデータを突きつけられると、自分はゲームをやらなくとも、人の子の親としては心配にならざるを得ない。

単純なゲームに夢中になっている状態は麻薬を使っている状態と非常に似ているのだそうだ。パチンコなどのギャンブル依存症もそれに近いかもしれない。

そういうような話を聞きかじっていたが、先頃、以下の本に遭遇。「デジタル・ヘロイン」なる惹句が帯を飾る。



インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで 

岡田尊司 (文春新書 886円/税込)
 


こういう本はたとえ真剣に考えなければならない問題を含んでいたとしても、ネットゲーム会社の広告収入をかなり頼りにしている民放テレビでは取り上げられる機会は少ないだろう。

本だけではなく、話題としても、 流行りのゴールデンタイムの医療番組でこの話が取り上げられることもないだろう。ネットゲームの会社がスポンサーの深夜番組ならなおさら。




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