2011年6月15日水曜日

79号「雅歌」目次

インタープリテイション第79号
特集「雅 歌」

2010年8月 定価2100円 (本体2000円+税)


愛は死のように強く
情熱は陰府のように酷い


まえがき


D・グロスバーグ (宮崎 修二・訳) Daniel Grossberg
「雅歌における自然・人間・愛」

雅歌における三つの重なり合うテーマ、自然、人間、愛をめぐる論考であり、自然を用いた比喩が人間の愛を思い起こさせるためにどのように用いられているかを本稿では検討する。また、そこで呼び起こされる愛が非常にエロティック的でありながら抑制された性質をもつことについても検証していく。


T・リナフェルト (宮崎 修二・訳) Tod Linafelt
「愛 の 数 式」

詩人たちは愛を数学の命題のようなものと見ている。古代イスラエルの偉大なる欲望の詩、雅歌に限らず、愛の文学には、ひとつになろうとしている二人であれ、三つの要素がもたらす計算結果であれ、古くから複雑な計算の歴史がある。
【Keyword】 サッフォー (Sappho)、アン・カーソン(Anne Carson)



F・W・ドブス=オルソップ (小林 祥人・訳)F. W. Dobbs-Allsopp
「美の喜びと雅歌四章一─七節」

美は人間の繁栄を中心にした現代の考え方の中で顕著な役割をもってこなかった。本稿は教会や学問の世界がそこに再び価値を見出せるような美の概念を再生させようとするものである。ここでは聖書学者が雅歌四章1ー7節の詩を典拠に議論するときの視点から生じてくる問題が特に扱われる。


C・L・シュナーブル=シュワイツァー (小幡 幸和・訳)Carol L. Schnabl-Schweitzer
「雅 歌 ──パストラルケアのための隠喩──」

牧会ケアの場で聖書を用いる際には、人を変容させる神の力についてそこに何が示されているかに注目すると同時に、助けを求めている人の状態に注意する必要がある。雅歌は対等な立場にある二者が愛の力によって変えられる物語を隠喩によって語っているが、そうしたことの中に牧会ケアに対する洞察を見ることができる。雅歌の終わりにはさらなる切望の思いがあるが、全体を通して見ればこの書は健全な人間関係においてなぜ欲望が必要であるのか、そしてなぜ人間が基本的に必要とする愛があらゆるカウンセリング、とりわけ鬱に苦しむ人との取り組みにおいて不可欠であるかを明らかにしている。
【Keyword】 J・クリステヴァ、心理療法、カウンセリング



テクストと説教の間

詩編86編11―17節(A・E・アータバリー/鈴木 淳之介・訳)
エレミヤ書31章31―34節(D・ライマー/落合 友子・訳)
マタイによる福音書14章13―21節(C・A・サマーズ/落合 友子・訳)

書評紹介

デイヴィッド・M・カー著『愛 の 言 葉──セクシャリティとスピリチュアリティと聖書──』
ベヴァリー・R・ガヴェンタ著『註解・使徒言行録』
リチャード・A・ホーズリー著『イエスと帝国 ──神の王国と新しい世界の無秩序──』
クレイグ・C・ヒル著『神 の 時 に ──聖書と未来──』

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