チャールズ・A・サマーズ
「マタイによる福音書14章13―21節」
「マタイによる福音書14章13―21節」
79号「雅歌」より
イエスは群集に食べ物を与えるよう弟子たちに命じるが、弟子たちは全部で五つのパンと魚二匹しかないと抗議する。
イエスはこの献げ物を手に取り、群集を家族のようなまとまりで座らせた上で(ここにおいて見知らぬ人々が会衆となる)、その業をはじめる。
イエスは天を仰ぎ、「賛美の祈りを唱え、裂いて、お渡しになった」。
これはマタイによる福音書二六章26節にみられる聖餐の場面だけでなく、天の王国を示している。
見知らぬ人々が家族となり、メシアが北から南から、東から西から集う人々の食卓の主となり、金を持たないものが来て、買い、食べることになるという別の食事の場面をも思い出させる(イザヤ五五1)。
すべての食事が日々の糧と親しい交わりという必要を満たしてくれる神の憐れみを思い起こさせるものとなり得るのである。
一九八七年、ハリケーン・ヒューゴがアメリカを襲い、木々を倒し、送電線をなぎ倒した。
電力供給は八日間ないままだった。
すべての冷蔵庫が電源オフになった。
人々は野外で料理し、貯蔵庫から食物を運び出して皆で分け合った。
来る日も来る日も大層なご馳走が並んだ。
近隣の者たちがともに集い、それぞれの蓄えを分け合い、その出来事を分かち合った。
その時に分け合ったパンはあらゆる食べ物の中で最高のものであり、まるで天国で食べているように感じられた。
聖書は繰り返し天の王国を宴会のようなものとして描いている。
マタイによる福音書一四章は来たるべき将来を垣間見させてくれているのである。
雅 歌
第79号 2010年8月
定価2000円+税
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