フランスの哲学者エマニュエル・レヴィナスは「他者」との関係を神の存在を経験する手段であると記している。
レヴィナスによれば、キリスト教徒は個々人の一対一のやり取りの産物として神との関係を考える傾向にあるという。
それに対して
「わたしたちユダヤ人は常に三人一組である。
すなわち、わたしとあなた、そしてその間にいる第三者としての神。
そして、神は第三者としてのみ自らを顕したもうのである」とレヴィナスは記している。
レヴィナスの宗派的な区別に同意するかどうかは別として、キリスト教徒とユダヤ教徒がともに権威ある文章としている創世記二―四章の物語においては、カインが自分の神体験が土地との関係に依存していると認識していたとされる。
物語を読む者は敬虔な奉仕を通して、カインが弟の幸福を守ることと密接不可分に結びついている土地との関係に関係することになる。
このとき「他者」にあたるものには人間以外の自然界と他の人間が含まれる。カインの問いに「そうだ」に答えるとき、土地への配慮と人間の幸福への配慮が不可分であることに同意することになる。
クリスティン・M・スウェンソン「エデンの東を守り、保つ ―エデンの園から見るカインとアベルの物語―」(インタープリテイション84号 聖書の中の「他者」へのまなざし)
「他者」へのまなざし
第84号 2014年3月
定価2000円+税
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