2015年8月9日日曜日

聖書の「終わり」とヨハネ福音書




フランシス・J・マローニー
聖書の「終わり」



イエスの死はイスラエルの聖典を実現するだけでなく、それを「完全なる終わり」へと導く。

 一九章28─30節aの簡単な説明において確認したように、ヨハネはそこまでに「テロス」と関連する様々なギリシャ語の名詞や動詞を用いて、神の計画に「完全なる終わり」がもたらされる最後の瞬間の到来を約束している(四34、一三1、一七4参照)。

イエスの死を完成、成就とする表現はいずれにしても一九章30節aにおける劇的な結末に繫がる。

聖書からの引用とは関連しないが、十字架上からのイエスの叫び、「成し遂げられた」(30節a)はすべてが最終的な達成をみたこと、すべてが実現したことを権威をもって宣言する。

第四福音書全体を通じて丹念に組み立てられたイスラエルの聖典からの引用は、イエスの物語の開示と密に組み合わされ、着実にこの「成し遂げられた」というクライマックスに繫がっている。

ヨハネ福音書の中で語られているように、イエスの死において、またそれを通じて神の栄光を示すことが聖書の物語の「終わり」、すなわち、その実現であり、それがここにおいて初めて、極めて重要なものとして示されている。









特 集

ヨハネ福音書と教会

第85号 2014年6月
定価2000円+税





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