ゲイル・オデイ
「未来に戻れ アドベントの終末論的ヴィジョン」
(83号特集「アドベントと典礼」)
アドベントの期節には時間それ自体が明確な神学的カテゴリーとなる。
アドベントは新しいキリスト教暦年の始まりを示すものであるから、その典礼期節としての中心的特色のひとつは、礼拝共同体がそのアイデンティティの根源である物語サイクルに再び入るということである。
教会の時の捉え方がもつ循環的性質は、聖なる物語は毎年アドベントに新たに始まるということを意味する。
典礼暦年において宗教上の物語と時が交差することによって、過去、現在、未来が共同体の共同生活において絶えず新たに得られるものとなる。
すなわち、過去、現在、未来は絶えず長くなり続ける予定表に沿って進むのではなく、時の中で循環的に互いに関連し合うのである。
アドベントは礼拝するキリスト者たちを従来の線的な時間理解から離れさせ、神の時に入らせる。
アドベントにとっての時の重要性は、典礼暦の要にあるポイントを見るとはっきりする。
典礼暦はキリストの支配または〈王であるキリストの主日〉で終わる。
〈通常の時〉の最後の主日、〈王であるキリストの主日〉の聖書日課は選ばれた朗読パターンに従う。
受肉のサイクルと過越のサイクルと同様、三つの日課には宇宙を治めるキリストの支配というこの日のテーマを際立たせるものが選ばれている。
〈通常の時〉における聖書日課は、聖書の幅広さや教会の礼拝と宣教を通して知られるキリスト教の物語の多くの面に焦点を合わせたものと特徴づけられるが、その最後の主日にはキリストの物語に焦点が戻る。
しかし、重要なのは〈王であるキリストの主日〉には、受肉のサイクルと過越のサイクルと違って、キリストの物語の出来事を物語り、再演することに焦点があるのではなく、その物語によって生み出された未来が焦点になっているということなのである。
アドベントと典礼
第83号 2013年11月
定価2000円+税
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