ケネス・D・ハッチェンズ
「イザヤ書45章14−23節」
(81号特集「ほかに神があってはならない」)
前六世紀、バビロニア帝国各地に散り散りになっていた古代イスラエル人は多くの選択肢に直面していた。
彼らが住む世界は多神教が広く行き渡った世界だった。
それぞれの民にはそれぞれ守護神がいたが、他の神や女神たちへの礼拝もあきれるほどの数の組み合わせと形をもって広く行われていた。
捕囚以前に声を上げた預言者たちの主たる批判のひとつは、イスラエルの神ヤハウェへの礼拝を他の神への礼拝と混合させたり、神を取り替えたりする古代イスラエル人の性向に対するものであった。
多神教に順応すること、あるいはヤハウェを捨て去ることへの圧力は、ユダを打ち負かしたバビロニアによるエルサレム破壊よりも大きなものでさえあった。
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先日、 ある研究会で「アル・イェフードゥ」というバビロニアのユダ人居住地の話を聞いた。「アル・イェフードゥ」は「ユダの町」という意味。
そこではユダ人がバビロニアの神の名がついたバビロニア名をもつようになったり、世代を経て、ヤハウェを含んだユダ名をもつものに戻ったりする様子が経済文書から明らかにされている。
バビロニアの神の名がついた名をもっていても、ユダ人でありつづけるという現象は、これまでの考え方とはかなりちがう。
興味のある方は下記参照。楔形文字のテクストですが、英訳つき。
L. E. Pearce and C. Wunsch, Documents of Judean Exiles and West Semites in Babylonia in the Collection of David Sofer. Cornell University Studies in Assyriology and Sumerology 28, Bethesda, MD, 2014.
ほかに神があってはならない
第81号 2013年5月
定価2000円+税
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