ダニエル・グロスバーグ「雅歌における自然・人間・愛」
79号「雅歌」より
聖書には自然、人間、神の間の緊張関係を扱っている書や伝承がある。
たとえば、創世記一章二八─三〇節で神は人間に地上を支配するよう命じ、動植物を食物として支配する権利を与えている。
しかし、結局のところ神がすべての創造者であり、神が階層秩序を確立する。
詩編一九編一二節には自然と人間と神の間に働くまた別の力学が表現されている。
人間は世界と被造物のことを考え、それを保全することでその信仰が高く評価される。
詩篇作者にとって自然はもちろん神の創造物であり、それは全く神の意のままに機能する。
三つめの関係はヨブ記三八─四〇章で嵐の中から語られる神の言葉に表されている。
神は自然の宇宙的現象に関する嵐のような問いでヨブに猛攻撃を加える。
ヨブはその問いにひとつとして答えることができない。
その神秘は神の支配下にあり、人間が理解できる範囲にはない。
雅歌は創造主としての神はもとより、いかなる神概念も欠いている。
したがって、雅歌には〈自然・人間・神〉という宇宙を構成する三概念の組は異質なものであり、当てはまらない。
しかし、そこには宇宙を構成する新しく大胆な三概念の組〈自然・人間・愛〉がはっきりと表現され、その世界を定義している。
雅 歌
第79号 2010年8月
定価2000円+税
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