アドベントと典礼
第83号 2013年11月(13年11月25日発売予定)
定価2000円+税
まえがき
ゲイル・R・オデイ (吉谷かおる・訳) Gail R. O'Day
「未来に戻れ ──アドベントの終末論的ヴィジョン──」
教会の時の捉え方が循環的な性質をもつということは、聖なる物語が毎年アドベントに新たに始まるということを意味する。幼な子キリストの到来は宇宙のコンテクストに置かれ、その中では時間さえもが神のこの世界への先取りされた突入によって再定義される。アドベントとは神の新たな時代の幕開けを先取りする新たな始まりの期節であり、また希望を新たにする期節なのである。
ロナルド・P・バイヤース (古本みさ・訳)Ronald P. Byars
「アドベントの贈り物 ──終末における約束──」
終末論はキリスト者の希望を明確なものにする。「再臨」と「最終的な神の支配」はともに奇異な期待に結びつけて考えられるため、聖書に見えるそうしたテーマやそれらにかかわる働きを説教と礼拝で取り上げないようにする力が作用する。古典的な典礼や新旧の聖書日課はこうした状況を再考し、より深く熟考することを促している。
ウィリアム・ダイアネス (松川哲広/黒田裕/吉田雅人・訳)William Dyrness
「『希望に見えるものは希望ではない』 ──アドベントにおける視覚要素の探究──」
アドベントは礼拝の中に美術などの視覚要素を取り入れることのできるキリスト教では特異な機会である。この機会に東方正教会もローマ・カトリック教会も、またためらいがちではあるがプロテスタント諸教会も信者に「そのときには顔と顔とを合わせて見ることになる」ものの一部を見ることを様々な形で奨励してきた。
ジョン・D・ ウィトヴリート (宮崎光・訳)John D. Witvliet
「『擦り切れた賛美の歌は主に歌わず』 ──アドベントの感傷性に対する神学からの切り口──」
説教者や教会音楽家はアドベントがもつ感傷性を避けるために、冷静に輝かしい終末を宣言する神学的に強固な取り組みをアドベントに見出すべきである。キリスト教の古典的な教理は神学的にも鋭敏な現代の賛美歌作家たちによって命を吹き込まれ、信徒、説教者、教師、神学者のヴィジョンに多くの有益な視野を提供している。
テクストと説教の間
イザヤ書63章 19節―64章8節(R・W・ハワード/金井美彦・訳)
マルコによる福音書13章24―37節(P・ガルブレイス/石田雅嗣・訳)
コリントの信徒への手紙一 1章3―9節(S・ワッツ=ヘンダーソン/岩田光正・訳)
書評紹介 (榊原芙美子/宮崎 修二・訳)
ロビン・A・リーヴァー著『ルターの典礼音楽──その原理と含意──』
津村俊夫著『サムエル記上』
ブライアン・K・ブラウント他編『故郷への忠誠──アフリカ系アメリカ人による新約聖書注解──』
M・ユージン・ボーリング著『注解 マルコによる福音書』