2014年10月5日日曜日

アレオパゴスでのパウロ




ロバート・E・ダナム 
使徒言行録17章16−34節」
(81号「ほかに神があってはならない」)



使徒パウロが初めてアテネを訪れたとき、この町はおそらくその全盛期から何世紀かを経ていただろう。

しかし、アテネはまだそこを訪れる者たちに芸術、詩、演劇、活発な哲学的、宗教的な対話といった多くの印象的なヘレニズム文化の宝を提供することができた。

要するに、当時アテネは文化の中心地として繁栄していたのであり、使徒パウロがテモテとシラスと合流するまでの間、その町を探究することに時間を費やしたのも頷ける。

パウロがそこで何を見つけ、それにどう反応したか、またアテネの人びとがパウロの反応にどのように応答したかを描くルカの記述は、聖書の中で特に印象的な邂逅のひとつといっていいだろう。

ルカはここにヘレニズム文化を一瞥させ、その文化の一部は新しいレンズを通して見るようにというパウロの挑発的な誘いに導く入口を用意している。


アレオパゴスでのパウロの演説は結局アテネの人びとの気持ちに変化をもたらすという点ではほんの控え目な成果しか上げることができなかったかもしれないが(一七34)、何世紀もの時間を隔てた今日においても、現代における文化財と文化的な前提(そして文化への熱望)に関わり、それに対する問いを強く発しようとしており、キリスト教徒の共同体には信仰の証しのモデルとなっている。

 


 


特 集

ほかに神があってはならない

第81号 2013年5月
定価2000円+税
 

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