2013年12月6日金曜日

「もうひとりのイエス」

Daniel Boyarin, The Jewish Gospels: The Story of the Jewish Christ

勝手に邦題をつけてみた。ちょっとセンセーショナルすぎかもしれない。実直に訳せば「ユダヤの福音書 ユダヤ人キリストの物語」。

先日、銀座のK文館で「今度、邦訳を出す」という話を伺い、原書をぱらぱら見てみる。おもしろそう。

イエスの誕生以前のユダヤ教文献に「死んでから三日目に甦ったメシア」の到来を予見するものが見つかったという。黙示文学の系譜に属す文献らしい(ちゃんと見てません)。

その発見から、ユダヤ教の中にキリスト教の起源を探るといった感じで話は進んでいくようだ。知的好奇心をくすぐられる。

前に紹介したレヴァインの本よりも本格的な感じはする。本格的でも分厚くないところがよい。224頁。邦訳になると300頁は超えるだろうか。そこに訳者による長い解説がつくそうだ。

著者ボヤリンには一度、会ったことがある。 学会の途中に講演の依頼をしようとしたのだが、「二年先まで予定はいっぱいだよ」とまともに取り合ってもらえなかった。なにやら軟派な雰囲気が漂っていた。ちゃんとしたタルムード学者ですが。

「ユダヤ教から見たキリスト教」をテーマにした本はあまり多くはない。日本ではまあ、需要がほとんどないのだけど、それゆえに、目新しい。邦訳の出版が楽しみである。

そういう中で、新約聖書にユダヤの視点から解説を加えた本が出ていた。最近「annotated」という語がタイトルについた本が多くなっているように思う。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/0195297709/ref=as_li_tf_il?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=0195297709&linkCode=as2&tag=mmiyas-22The Jewish Annotated New Testament

前出のレヴァインが編集をしていて、新約の本文はNRSV。 主要な新約の概念がユダヤの視点から改めて解説されている。

ほぼ衝動買いで、Kindle版を購入。安い。タブレットではなくて、主としてPCで使う場合はアメリカのAmazon経由にする必要がある。

リンクなどの仕方にまだまだ改善の余地はあるように思うけれども、電子書籍はかなり気軽に買えるようになってきた。端末も安い。紙への愛着のようなものはあるけれど、電子版は半額以下だったりする。洋書でアメリカのAmazonだとさらに安い。マイナーな分野でも英語の本はマーケットが広いからだろうか。ボヤリンの本も安いのだ。

でも、まあ、それはそれ。邦訳は楽しみ。邦題も楽しみ。
 

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