2015年9月6日日曜日

西洋を越えて



テリー・マック
「パラダイムを越えて
(86号「対話を求めて」より)


ニッターもヒックも西洋の哲学、西洋の神学の伝統に属している。

他に何者であり得よう。

ヒックの言葉を別の形で言い換えれば、ヒンドゥー文化の中に生まれた人はヒンドゥー教徒になる可能性が非常に高く、イスラム文化の中で生まれた人はイスラム教徒に、仏教文化の中であれば仏教徒、キリスト教文化であればキリスト教徒になる可能性が高いということである。

また、付け加えれば、西洋哲学の文化は西洋哲学者を生み出すのである。

西洋の哲学者あるいは神学者であれば、避けがたく新プラトン主義的なキリスト教神学、アリストテレスの論理学、カントの形而上学の継承者であり、そこに①キルケゴールの実存主義、②ヨーロッパのロマン主義、③ローマ・カトリック教会の神秘主義、④宗教改革の敬虔主義などの添加物が加えられる。

ニッターもヒックもこの伝統の継承者であり、そのことは彼らの著作に見てとれる。
 


これが彼らにとって避けられないことであり、避けられるはずもないことであったと述べておくことは重要である。

仮にそれが避けられたとしても、それは望ましいことではなかった。

誰でもある視点をもって研究を行う。

何かが可能であるということ、あるいはあり得ないということが分かるのも何らかの視点があればこそなのである。

神学と哲学についての西洋の考え方は重要であり、有益である。

そして、西洋人が自らの考え方を棄てて、たとえば東洋的な考え方を受け入れようとするとき、その結果はたいてい気まずいものになる。


 



特 集

対話を求めて

第86号 2014年9月
定価2000円+税

















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